諸事情により、ブラシレスモーターの巻き直しに挑戦する為にばらした中国製モーター。開けてびっくりの仕様でした。
14極12スロット 530kvですが、使われている配線は0.08mmを9束で13ターンのスター配線。0.08mmってアンタどんだけ細いんですか。9本束にしたところで0.25mmのエナメル線の断面積にも劣ります。そこに20A近い電流を流すなんて考えられません。
しかも、使われている配線材はポリウレタンコーティングのエナメル線。これは被覆を剥かずにハンダ付け出来るメリットもありますが、120度以上の温度でコーティングが解けてしまうため通常はポリエチレンコーティングのエナメル線を使うのが常識のはず。んー...さすが安物モーター。
【細い配線? 太い配線?】
一見、細い配線を使えば、流れる電流も押さえられ、省エネに見えます。確かに無負荷の状態で回せば、消費電力は押さえられます。しかし、負荷を掛けた場合、電力は負荷に比例して大きくなります。この際、配線が細いと流れる電流は熱へと変換されてしまい、効率は落ちてしまいます。
しかもこの熱問題はとても重要で、エナメル線のコーティングに影響を与えるだけではなく、マグネットにも大きな影響を与えます。模型用のモーターで一般的に利用されているフェライト磁石やネオジウム磁石は一般的に100度以下での使用を求められています。この温度を超えると、一気に減磁してしまい、さらに消費電流を高め、さらなる熱の問題を生み出します。そして、室温に戻すとその磁石は減衰した磁力から戻る事はありません。
それじゃ、何故細い配線を使うのさ...。
強い磁力を生み出す為には、太い配線で大量の電流を流し、密に巻いた配線で高い磁束密度を作り出すことが基本です。しかし、太い配線を使った場合、配線と配線の間に隙間が生まれてしまいます。これを嫌い、細い配線を束にし、トータルの断面積で大きな電流に対応させ、隙間無く細い配線を巻く狙いがあるのです。
しかし、手持ちのモーターを見ると、全然密には巻かれていません。ただ単に、細い配線を束にする事で、配線自体がしなやかになり、巻きやすさを狙っただけのようです。
しかし、もう一つ細い配線を使う、メリットはあります。配線に交流電流(パルス)が流れる場合、周波数が高くなると配線の表面にしか電流が流れなくなります。これをリッツ効果と呼び、この効果を押さえる為に、細いエナメル線を束にしたリッツ線などもオーディオの世界でよく利用されます。高周波の減衰を嫌い、スピーカーの内部配線やヘッドホン等に利用されています。
とりあえず、ESCが出す、PWM駆動からの周波数をざっくりと計算してみましょう。
周波数 = 回転数×極数 / 120
これを自分のモーターのスペックを代入してみます。
530kvを3Sリポで回すので、12.4V(満充電時)の100%回転数は6572rpm
6572rpm×14極/120=約767Hz
10Khzで2%の損失だそうなので、リッツ効果は加味しなくても良さそうです。
とりあえず、密に巻ける太い配線で巻きなおす。ことにしてみます。さてどうなる事やら
続く..........
Replies
時間が出来たのでとりあえず、モーターを巻き直し。
元々のモーターは0.08mmを9束使って巻いていますが、今回は0.6mmを使って同じターン数、同じ結線方式でやってみました。
ノーマル:12N14P (0.08mm×9/断面積合計 0.045108) スター結線 13ターン
テスト1:12N14P (0.6mm×1/断面積合計 0.283) スター結線 13ターン
狙いとしては抵抗が減って流れる電流は増えますが、磁束密度も上がり、トルクも増える、結果消費電流が減ってくれるとうれしいのですが、やってみなければわかりません。ダメであれば、使うワイヤーサイズを変えてリトライします。
データーを取りたいので、ワットメーター、レーザー式回転数計、赤外線式温度計を発注。結局モーターが変えそうな金額だなー。
よく調べてますね (そして博識) 大変 参考になりました
大昔にRCカーで遊んでた頃、モーターを巻き直していました。
モーターの巻き直しも結構楽しいですよ。